こんにちは, 株式会社ECナビ システム本部の春山(@haruyama)です.
前回の記事「Happy Scaning(1): 「濃い」漫画「薄い」漫画」で予告したように, 島本 和彦(@simakazu)先生の漫画の濃度の研究をします. 「濃度」とは, 漫画をPDFにしたときのファイルサイズ/ページ数のことです. 詳細は前回の記事をご覧下さい.
「濃度」を比較する島本和彦漫画
今回は以下の島本漫画を対象とします.
- 炎の転校生
- 小学館文庫. 「心に棚を作れ」は名言. 他人のコードをレビューするときには常に心の中でつぶやいています.
- 燃えるV
- MF文庫
- 仮面ボクサー
- リュウ・コミックス
- 逆境ナイン
- サンデーGXコミックス
- 燃えよペン
- サンデーGXコミックス
- ワンダービット
- MF文庫. ログインを読んでいて第12話に感動したことを覚えています. 「正義の怒りが爆発した!!!!」
- 無謀キャプテン
- リュウ・コミックス
- 卓球社長
- ビッグコミックス. 弊社は会社に卓球台がありますよ.
- スカルマン
- MF文庫
- 吼えろペン
- サンデーGXコミックス
- ゲキトウ
- リュウ・コミックス
- 新吼えろペン
- サンデーGXコミックス
- アオイホノオ
- ヤングサンデーコミックス, 少年サンデーコミックススペシャル. いま一番先が楽しみな漫画です.
- アスカ@未来系
- サンデーGXコミックス
注: 島本先生以外の作品が含まれていたりあとがきやあとがきまんがが含まれている本もありますが, 島本先生の当時の漫画だけ抜き出して解析するのは面倒なのでやっていません. 厳密な解析ではないことをお断りしておきます.
Rを用いた島本漫画の「発表年」と「濃度」の関係
今回もCSVデータ()を用意しました. Rで島本漫画の「発表年」と「濃度」の関係を解析していきます.
散布図の作成(1冊単位)
まずは1冊単位で散布図を書いてみます.
> titles <- read.csv("mangapdf_simamoto_20100903.csv", header=T) > head(titles) タイトル シリーズ ページ数 サイズ 濃度 発表年 1 燃えるV_1 燃えるV 318 38968411 119.67009 1986 2 燃えるV_2 燃えるV 300 37353253 121.59262 1986 3 燃えるV_3 燃えるV 322 39400631 119.49434 1986 4 燃えよペン 燃えよペン 256 54833637 209.17373 1990 5 炎の転校生_1 炎の転校生 352 31075035 86.21226 1983 6 炎の転校生_2 炎の転校生 351 28646951 79.70239 1983 > attach(titles) > plot(発表年,濃度, type="n", xlim=c(1980,2015)) > text(発表年, 濃度, タイトル) > detach(titles)
散布図の作成(シリーズ単位)
1冊単位だとごちゃごちゃしているので, シリーズごとに平均をとって散布図を書いてみます.
> series <- data.frame(cbind(tapply(titles$発表年, titles$シリーズ, mean), tapply(titles$濃度, titles$シリーズ, mean))) > series 発表年 濃度 アオイホノオ 2008.500 222.38068 アスカ@未来系 2009.333 279.77622 ゲキトウ 2004.000 268.72471 スカルマン 1999.200 169.88056 ワンダービット 1992.000 147.18995 炎の転校生 1984.000 95.18908 仮面ボクサー 1988.000 186.40856 逆境ナイン 1990.333 184.23147 新吼えろペン 2006.182 217.06700 卓球社長 1997.000 217.79991 燃えよペン 1990.000 209.17373 燃えるV 1986.000 120.25235 無謀キャプテン 1992.500 175.62237 吼えろペン 2002.154 229.93902 > colnames(series) <- c("発表年", "濃度") > attach(series) > plot(発表年,濃度, type="n", xlim=c(1980,2015)) > text(発表年, 濃度, rownames(series), cex=2.5) > detach(series)
回帰分析
だいたい「発表年」と「濃度」に線形な関係がありそうなので分析してみます. タイトルごとの「発表年」と「濃度」について回帰分析を行ないます.
> attach(titles) > summary(lm(濃度~発表年)) Call: lm(formula = 濃度 ~ 発表年) Residuals: Min 1Q Median 3Q Max -51.184 -20.481 -2.988 20.218 57.185 Coefficients: Estimate Std. Error t value Pr(>|t|) (Intercept) -9924.4382 860.2566 -11.54 <2e-16 *** 発表年 5.0635 0.4305 11.76 <2e-16 *** --- Signif. codes: 0 ‘***’ 0.001 ‘**’ 0.01 ‘*’ 0.05 ‘.’ 0.1 ‘ ’ 1 Residual standard error: 28.49 on 59 degrees of freedom Multiple R-squared: 0.701, Adjusted R-squared: 0.6959 F-statistic: 138.3 on 1 and 59 DF, p-value: < 2.2e-16 > abline(lm(濃度~発表年)) > detach(titles)
各パラメータに対するp値も小さく, 「発表年」と「濃度」は以下の関係式で表わせるようです.
「濃度」 = -9924.4382 + 5.0635 * 「発表年」
この式によると「濃度」が0になるのは「発表年」が1960年のとき. 島本先生は1961年4月26日の生まれなので, だいたい合ってますね!
「濃度」の上昇には, 島本先生の画力の向上だけではなくアシスタントさんなど漫画を描くための体制も大きく寄与していると思われます. 今後も「濃度」の上昇に期待したいですね.
まとめ
島本和彦先生の漫画の「濃度」が「発表年」に対して線形に増加していることがわかりました.
島本和彦先生はまだまだ(「濃度」的に)成長する! きっとする!