このエントリーは、VOYAGE GROUPエンジニアblog Advent Calendarの12/16分です。

本日は私、VOYAGE GROUP 新規事業開発室 兼 adingo データプラットフォーム本部所属エンジニア@bash0C7がお送りします。
俺Rubyテスト環境としてはrspecrrguard-sporkを愛用しています。フレームワークはPadrinothorが最近のお気に入りです。

■意思決定に足る情報に当たる

さて、現在大学3回生のみなさんは就職活動まっただ中かと思います。プログラマー職やシステムエンジニア職に興味をもち、IT技術の世界に飛び込もうと思っている方も少なからずいらっしゃるかと思います。

しかしインターネットを巡ると、SEだのプログラマだのという仕事について、きつい、帰れない、しんどい、休みとれないなどネガティブな言葉で語られているのを目にした方も多いと思います。また、知り合いや先輩がそういう事を言っているのを耳にした方も少なからずいると思います。

実際にはどうなのでしょうか。

確かに上記のような話は私も見聞きしたことがあります。しかしそれらは得てして端的に話をする中で、極めて一部の側面を切り取ってセンセーショナルの切り口にフォーカスした断片的な情報であり、それだけで何らかの意思決定を行うのはあまりに早計過ぎます。
きちんとコンテキストや雰囲気まで含む総合的な情報として、きちんとまとまった資料に当たることが王道です。

そこで、前置きが長くなりましたが、これからの自らのキャリアを考え未来を選択していく上で読むべき情報として私個人として強く薦めたいのが「なれる!SE」です。
■「なれる!SE」とは

公式サイトの説明を引用すると、「なれる!SE」とはこういう作品です。
平凡な社会人一年生、桜坂工兵は厳しい就職活動を経て、とあるシステム開発会社に就職した。
そんな彼の教育係についた室見立華は、どう見ても十代にしか見えない少女だった。
しかしそんな見た目に反し室見は確かな実力を持つワーカホリック娘で、多忙かつまったく優しくない彼女のもと、工兵は時に厳しく指導され、時に放置プレイされながら奮闘することになる。
入社早々、実際の顧客相手の案件担当を振られるのを皮切りに、社内の運用部署との調整や大規模案件の提案、はてはベンダー数社を束ねるプロジェクトマネージャーまで、およそ新卒一年目にはハードルの高すぎる業務を無茶振りされるが!?
システムエンジニアの過酷な実態をコミカルに描く物語、それが『なれる!SE』です!
小説、漫画、ドラマCD、グッズと、人気作品の王道展開がなされており、小説は12/10に最新刊の8巻が刊行されました。漫画版はWebサイトで読むことができる他、コミック2巻まで刊行されています。

内容としては、先に引用した説明文の通り、
システムエンジニアの過酷な実態
とあるように、確かにそういう部分についてのシーンがイキイキと描かれています。Amazonのカスタマーレビューをみてもそういう部分についての言及が多く、眠りを覚ます恐怖の記憶(トラウマ)が蘇った方が少なからずいらっしゃるようです。

また、主人公の上司の室見さんという人物がこれまた大変イキイキと描かれていまして、これがとてもとても魅力的であり、私としては「室見さんは俺のOJTメンター」という言葉を胸にいだいて生きています。これについても多くの読者が同意していただけるものと信じています。
余談ですが、職業人としての室見さんの立ち居振る舞いは色々な意味で参考になります。こちらについてはまた改めて主張しようと思います。

確かに、それらの部分に悶え倒すのは素晴らしいエンターティメントです。一読者として大いに楽しませていただきました。しかし、自らのキャリアを考える材料として読み取る上では、そういった部分だけをピックアップしてしまうのは、あえて強い口調でいうと誤読であると言わざるを得ません。

■環境に依存する事柄を見出す

例えば、SEだからプログラマーだから過酷だろうと読み取ってしまうかもしれません。残念ながらこれはあまりに短絡過ぎます。なぜならその過酷さは職業に由来する部分よりも環境に依存する部分が多いからです。

作中のエピソードを一つ引用すると、小説の1巻で室見さんがこういう事を発言しています。

「どんな状況だろうとベストを尽くす。それが私達技術屋の役割よ。クライアントがどんな人間でも扱うプロトコルやパケットは変わらない。いつもと同じことをするだけ」

この発言自体は室見さんとしてのエンジニアとしての矜持の発露でしょう。エンジニアとしての矜持としては私は別の考えをもっていますし、人の数だけ違ったものを抱いていると思います。しかし今回の論点はそういう個々人レベルの話ではありません。この発言からは室見さんの周りにある、対立関係の力が働く環境の影響が透けて見えます。

今の私のまわりを見渡すに、こういう発言が飛び出る状況はありません。想像もし難いです。経営理念のCREEDにある「仲間と事をなす」という項目が自分たちにとっていつものことと捉えられているのも、その現れなのでしょう。
もちろん激しい議論をぶつけ合うというのはあります。ときに過度にヒートアップしてしまうこともありますが、それもまたCREEDにある別の項目「本質を追い求める」の一つであり、信頼があるからこそできる事でもあります。

■職業に由来する楽しさを見出す 

それで、自らのこれからを考えていく上でこの作品から本当に読み取るべきは、この作品の登場人物たちが生業とし、そして私が生業としているこの職業は最高に楽しいものだという事です。

例えば、小説の2巻で下記のようなシーンがあります。
トラブルが突発し緊急で対応せねばならない事態となり、普段とはまるで違う雰囲気に切り替わった同僚。そのときの室見さんと、同僚のその変わり様に戸惑う主人公とのやり取りです。
「この子にはね、運用ドキュメントなんか必要ないの。コンフィグや設定ファイル、ソースコードからでもシステムの全体像を解析し障害ポイントを特定できる。……定型オペレーション?フロー?はっ、よく言うわ。いざとなったらそんなもの見もしないくせに。この子はね、オペレータなんかじゃない。生粋のエンジニア、トラブルシューターよ」
トラブル…シューター。
呆然とする工兵に室見は「なによ、おかしな顔して」とせせら笑ってみせた。白い歯を剥き出し、ひどく露悪的な顔つきとなる。
こうです!これぞです!これこそなんです!室見さんはエクセレントだッッ!!哭ける!!!今夜は哭けるッわたしは今夜大声で哭くぞッッ 私たちの仕事とは、私たちの生業とは、各々が日々磨いた技術(ワザ)と積み上げてきた経験で、不都合な現状を解決し、最高な方向に覆すことなんです。
その中で、上記のシーンのような障害対応はもちろん重要ではありますが、解決すべきことの一つでしかありません。
もっと広く、様々な物事について、自分たちの手で望ましいものを成り立たせ維持することができる、パッションあふるるのがこの生業なのです。

ありがたいことに、私たちの周りにはたくさんの実現したいことがたくさんあります。新サービスを立ち上げ、既存サービスを盛り上げ、より素晴らしい技術を取り入れ、予期しがたい事態を解決し、迅速に事を進行する。一生かけても行い尽くせません。そんな楽しい位置に私たちはいるのです。

それなので、すでに読んだよという方も、これから読むよという方も、是非こういう部分に着目して、室見さんたちの心の躍動を味わってみてください。
また、それを味わったならば、ぜひ自らの生業としてこの職業に就くことを志してみませんか?

我々VOYAGE GROUPは現在2014年入社となる新卒採用活動を実施しております。我々と一緒に、「ミチを切り拓く」強い意志と覚悟を持ち、 仲間として共に挑戦していきたい!という方を募集しております。
もし我々に興味がでてきたならば、是非新卒採用選考会2014にエントリー下さい。

■次回予告

明日は、  monmon がエエ話を書いてくれます。お楽しみに!